三好達治、「雪」。

北海道の実家に介護帰省中、
でも一泊でとんぼ返りですが……

今日の実家周辺の最低気温は-9℃、最高気温は-3℃。
私は道産子ではないので、慣れてきたとはいえ、雪が降ると光と色合いが変わって、別世界になるのがとても不思議で。

そして、雪を見ると浮かんでくるのがこの詩。
  

           雪
                 三好達治

 太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

 二郎をねむらせ、二郎の屋根に雪ふりつむ。

初めて読んだ時に、とても衝撃を受けました。
太郎、二郎が居るのは現世なのかしら、と。
何故に、太郎は、二郎は、眠らせられるのかしら。
眠らせられた太郎は、二郎は、
雪が降り積む中に封印されていくのかしら。
雪は音を吸い込み、光を乱す。
静謐な空間が割れて古い世界が堕ち、
新たな異界へと繋がっていくのではないかしら。
これは多分、昼でも夜でも無い世界。
ほぼ黒と見えるインディゴブルーの光と影の綾。

雪を見るたび、音が消え光が落ち始めると、
私はこの詩を思い出します。

北海道の日暮れは早い、もうインディゴブルーの世界です。