「霊能者・守護霊」考。


クロッカスの原種。痩せた土地に、力強く咲く。

先日の、お客様との会話から。

「実は、取引先とトラブってしまいまして。
とても参っていましたら、友達が、
すごいキレッキレの霊能者知ってるから、連れて行ってあげる。
と、言ってくれて、私を連れて行ってくれたんです。」

はいはい、それは良かったじゃないですか。

「そしたらね、その霊能者さんは、ゲイさんだったんですけどね。」

はい、芸は身を助けます。かの有名な…さんも、ピーっ。
いろんなタイプの霊能者さん、いらっしゃいますよね。

「はい、でね、その霊能者さんが、
あんたの守護霊さまが、
こいつって最低野郎でカスでクズで、と怒っているわよ、どうするつもりなの⁈って、喚き出したんですよ…」

あらま、それは大変だあ。

「あんたの守護霊さまが、
こんな事もあんな事も、いくら注意してもダメなの治らない、
昨日だってこいつはこんなにクズだった、ってもう、あまりにもあたしに訴えたい事が多くて止まらないのよ。
とにかく、自分を反省し、悔い改めて、誠実に、優しい人になって、奉仕の心で生きていきなさい。
それで、あんた、後ろめたい事ってあるの?」

え、そりゃあ誘導尋問ですねえ。
ゲイさん、霊能者じゃなくて探偵さんみたいですね。

「それでうっかり、後ろめたい事を言ってしまったら、
守護霊さまが激怒している、との事で、30分くらい
怒鳴られまくりました…
もう、あんたなんて見放す、守護霊やっていられない!って言ってるって。どうしましょう…」

うーーーん。

私、霊能者さんが男性でも女性でも、ゲイさんでもジェンダーさんでも、
別にそんなに問題はないと思ってはいますが。
でもね、そんな井戸端会議の噂ばなし的な内容の会話をしてくるのは、守護霊じゃないですよ。
それは断言出来るかな、私は。
だって、そんなくだらない話題を出すような守護霊は、私は自分から願い下げですから。

それ、守護霊じゃなくて、
近くに居た、どうにもならない下世話な霊体にアクセスさちゃっているか、
霊能じゃなくて妄想でしょ。
守護するような霊体が、三次元の第三者の人間に対して、
そんな世間話なんてしないんですよ。
第一、会話というやりとりにはならないですよ。

哀しいかな、霊能者と自称する人は
相手を怖がらせたり、弱味に漬け込んだりして
マウントを取ったり、相手をコントロールしようとする人も少なくないですよね。
そういうアプローチをされたら、
ありがとうございました、もう充分です。
って、終わりにしちゃったほうが良いですよ。

「え、そんな事してバチが、当たらないでしょうか…」

当たらない、当たらない。
守護し、指導する霊だとしたら、
「投げかけ」はするけど、「問いかけ」はしないものです。
だって、サービス業ではないんだから。
わかりやすく話してくれるわけではない。

逆に、そのあたりのフラついている霊体に、
下手に関わる事になったら不幸が起きたりします。
やめたほうが良いし、忘れる事ですね。

「でも、でも、その霊能者さんは、
私のオーラが真っ黒だって…
このままだとすごく不幸になるって…」

あらま。
あのですね、オーラって、色はついていないんですよ。
だから、オーラの色を言った時点で、
はい、さようなら。ありがとうございました。
で、良いですから。立ち去りましょうね。
それに、オーラの色が黒かったら、不幸になるんですか?
ピンクだったら、恋愛成就ですか?

そんなに、単純な事ではないですよ、
私はそう思います。
だから、霊的な問題、精神的な問題で、
これさえすれば簡単に何かクリア出来る!
すっきりさっぱり、全て改善されて!
なんて話は
私はあり得ないと思っておりますので。

私が今、言える確かなことは、
あなたが今回会った霊能者さんは、NGだってことですね。
まあ、忘れる事ですよ。

これが、私のスタンスです。

誕生日、でした。

63歳になりました。
きれいなお花を頂きました。
他にも、たくさんの優しいお気持ちと、お品を頂きました。
本当に、ありがとうございます。
心から御礼申し上げます。

この仕事は、
歳をとればとったなりに、切れ味が出てきますので
(年寄りの繰言や思い込みはNGです、もちろん。)
日々の経験を研鑽にして、これからも積み上げていけますように、努力して参ります。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

目黒、天恩山五百羅漢寺の獏王。


目黒に座する天恩山、五百羅漢寺。
多数の羅漢像が並ぶ姿は圧巻ですが、
こちらに大変珍しい、
「獏王」と名付けられた不思議な像があります。

獏王の獏は、悪夢を食べてくれる、という
言い伝えがある、架空の動物、貘。
この王様、という事ですが、
神社の屋根の下にある、木鼻の貘のような巻き毛も無く。
真っ黒な体に、幾つも目があるちょっと怪異な姿。

実はこの獏王、
貘ではなくて、中国の瑞獣である「白澤」(はくたく)
ではないか、と言われています。
森羅万象に通じた、知識と旅の守り神、白澤。
その姿を祀る神社仏閣は少なく、
有名なのは長野の戸隠神社の奥宮。

そんなレア度MAXな、有難い獏王さま。
旅の前に、一歩踏み出す勇気が欲しい時に、
知識を生かしていきたい時に、
獏王さまにお願いすると良いかもしれません。


こちらが、獏王除災守。
なんと、獏王の体と、顔にある目の部分だけ、
守り袋の織りが違い、目がギラギラして見えるのです。

迫力〜!

こちらは、弟子のヨモギダさんが買ってきてくれました。
ヨモギダさん、ありがとうございました!

雛祭り。


長く伸びていく、飛行機雲。

3月3日、桃の節句、雛祭り。
女の子の健やかな成長と、幸せを願い
一年に一度、飾ります。

本来は流し雛として簡易な人形で、
雛祭りが終わると川に流して、病魔を退散させ、
厄を祓うものでした。
地域により、風習は違いますが
大抵は、嫁の実家からお祝いに贈るもの。
もしくは、両親から娘へと、
雛人形が親の代わりとなり、
いつまでも娘を守るように願い、贈るもの。

さて、今年の雛祭り。
娘二人の雛人形を出して飾り、
私の雛人形を出して飾ろうとしたら…
ぽろり、と男雛の頭が転がり落ちました。

え?え?ちょっと待ってちょっと待って。
確かに、しばらく前から首がグラグラしてきていて、
もう60年以上前の人形だから
経年劣化があるのは当然ではあるのですが、
気をつけて出したりしまったり、していたのですが…

この男雛の連れ合いの女雛は、
もう20年くらい前から、歯が生え出していたのでした。
正確には、歯ではなくて
唇の塗料が剥げて、地が出てそのように見えてしまうのだと思うのですが、
女雛の小さな口は少し開いていてピンクの舌が見え、
その前に小さな、米粒の1/5くらいの白い歯のようなものが見え、
真っ赤な唇に映えて、かなり色気がある女雛になってしまい、
その色香は年々、強くなるように感じていました。

色気漂う、歯が生えた女雛と、
今にも首が折れそうな男雛、二人並んで澄まし顔、
というより何やら妙に迫力がある。生身っぽい。

その、男雛の頭がころり、と音もなく落ちて。
そうか、お疲れ様でした。
女雛を抑えていた男雛は、力尽きてしまったのね。
それだけ、女雛の力が強くなったわけですね。
いよいよ、人形供養の時期が来たのですね。
長い間、ありがとうございました。

私は落ちた男雛の首を、男雛の膝に抱かせて
薄紙で包み直し、
女雛を包む薄紙は取らずにそのままに、
女雛の顔を、うすく開けた歯が生えた口を見ずに、
お酒をあげてお菓子を持たせて、
すぐに人形供養に送り出したのでした。

灯りをつけましょぼんぼりに…

ありがとう、お雛様、今までありがとう。
私は、これで親の庇護から、本当に巣立った気がしますよ。
さようなら、私のお雛様。