真夏の夜の夢。

富山県と長野県の間に位置する針ノ木岳からスバリ岳を臨む。
夏山は美しいですね。

先日おみえになった、ふんわりした雰囲気のクライアントさん。
「鶴見さん、わんちゃんの幽霊っているかしら?」
「いますね。わんちゃんの場合はかなり、リアリティーを伴いますよ。
例えば、ちょっと生臭いような暖かい湿った息がかかったり。」
「ああ、やっぱりそういう事ってあるんですね!」

聞けば、賃貸の今のおうちに引っ越してから、何回か夜中にわんちゃんの霊が訪れるそうで、
それも毎回、きちんとドアから入ってきて、ドアから戻っていく。
毎回、家中を元気に走り回っていて、布団で寝ていると何度も踏まれる。
はっ、はっ、という息づかいも聞こえる。
それで、前回、あまりに踏まれて困ったので、
しかもぺろり、と手を舐めてきたので、
こらっ!と怒ってしまったんだけど。
可哀想だったかしら。また来るかしら。
走り回らなかったら、来ても構わないのだけど。

そうですか、リーディングしてみますね。
その仔はどうも、そのおうちで飼われていたわんちゃんですね。
引っ越してきた時に、窓辺に犬の毛が溜まっていた?
じゃあ、その仔でしょう。
飼い主さんが引っ越したのを知らなくて、
懐かしいおうちに遊びに来たのでしょう。
でも、叱った時に飼い主さんじゃない、とわかったみたいですから、
もうこの家には来ないんじゃないかと思います。

心優しいクライアントさんと、
わんちゃんの霊が飼い主さんを探し当てられて、
嬉しく甘えられますように。
と、祈りました。

私自身は、
フレンチブルドッグのブルを獣医さんで看取り、
泣きながら帰宅して家のドアを開けた途端に2階から、
ちゃっちゃっちゃっちゃっ。
と足音がして、階段のあがりがまちでいつも通りに私を待っている荒い鼻息がありあり、と聞こえた経験があります。

また、幸薄いシャム猫の幼い姉弟が
相次いで虹の橋を渡ったあと、毎晩のように私の布団の上に来て、2匹で楽しそうにじゃれあって遊んでいたものでした。
その姿は見えないのですが、布団が足跡に沈むんです。
しばらくは遊びに来ていて、布団に次々につく足跡がみえたものですが、
そのうちに来なくなりました。無事に転生したのかな。

私が今までに聞いた中で一番、驚愕したのが
某大学の教授先生のお話。

「鶴見さん。
まだボクが怠け者の大学生で、大学に行かずに下宿でゴロゴロ過ごしていた時代に、ですね。
毎日、セミ女が遊びに来ていたんですよ。
ありゃあ、なんだったんでしょうか。」

え。なんですか、セミ女、と仰いました?
私は初めて聞きました。

「そうなんですよ。上半身が蝉で。下半身は人間の女で。
そうです、全身は人間と同じくらいの大きさです。
しかも、飛べるんですね。
狭い下宿の部屋の中をうまく、飛ぶんです。」
「みんみん、とかしゃわしゃわ、とか鳴くんですか?」
「いえ。今日も来たわよ、とか喋るんですよ。」

それに関しては、リーディングはしなかったので
その正体はわかりません。

夏は、暑さの陽炎の中、
現世と異界の境界線が曖昧になる季節。
今年の夏の暑さは殊更に、
あなたの周りの境界線もいつもより、曖昧かも。