「霊能者」。

まだ幼い仔犬。
生後、4ヶ月の女の子。
フレンチブルドッグとマルチーズのミックス。
1ヶ月前に、このお宅に貰われてきました。
臆病で、びくびくしてるけど、一生懸命ご挨拶。
よしよしよし。

飼い主さんが前に飼っていた犬は、フレンチブルドッグ。
飼い主さんはその仔を愛して愛して。
人間のお子さまもお二人、授かって、そしてその仔は、フレンチブルドッグに多い腫瘍で、虹の橋を渡ってしまって、5年が経過。
お子さまたちが、やはりわんこと暮らしたいと望み、
お子さま方の強アレルギーをなんとか、クリアしたこの仔がやってきて。

でも、この仔はいつもびくびくしていて、余り甘えも無い。甘噛みもつよい。目がどんよりしている。
飼い主さんは悩んで、いろいろな知り合いに相談。
その中の一人が、
「私は実はいろいろと視える人」
だった。

その人は
「私は実はかなり優れた霊能者で、いろいろ視える。
この犬は性格にかなりの問題があり、愛を知らない、だから人間と心が通い合う事は一生、無い。魂も無いような状態。
飼えば飼うほど、後悔と不幸が募るから、手放したほうが良い。私には不幸な未来が視える。」
と、言ったそうで。

飼い主さんは泣いて泣いて、どうしたら良いだろうと私に相談してきました。
彼女とは、フレンチブル友だち。
鶴見さん忙しいから、聞いちゃ申し訳ないと思ってたの、と涙声。

その、実は私は視える奴、をここに連れて来なさいよ。
私が意見をするから。
何が視えるというのだ、そんな奴に。
人を縛るような事、傷付けて弱らせて、更に迷わせるような事を言う奴が視てるもの、なんてろくでもないもの、低レベルなものだよ。
例え、仏が視えて、仏がそう言っていたと聞こえても、
本当の仏ならば、高次元なのに本当に、人のことばを話すと思う?
いつもあなたの後ろに居て、これはするなあれはダメだ、みたいな小舅みたいな事を言うと思う?
そんなくだらないものに、振り回される必要性は無い。
それが視えるから、聞こえるから私はすごい、霊能者だ、みたいに言う人はまったく勘違いしているだけ。
そんな事を信じて、この震えている仔を愛せないならば、私が連れ帰って飼う。
ありきたりの、「愛」ということばに振り回されないで。
まず、あなたが愛して。
愛して愛して愛して、ただ愛して。
愛してもらいたいなら、どうして自分の愛を出し惜しみするの?

震えている仔犬は私に寄ってきて、顔をペロリと舐めてくれて、
それから真っ直ぐ、飼い主さんの元に駆け寄って。

ほら、ちゃんと愛は通じているじゃない。ね。

私は今まで発言はしなかったけど
じゃあお前はなんなんだ、と問われたら
シャーマンです、と答えるしかないけれど、
自称、霊能者さんは
「視える」から、「聞こえる」から、
特別な存在であり、他者にアドバイスをして構わない、という
妄想は抱かないで欲しい。

結果は、あなた自身に返る。