一気に、秋。


フランス、ストラスブールからバスク地方へと移動し、パティシエの仕事に勤しむ堀先生から、
バスク地方に伝わる「幸せになる貝」の画像が送られてきました。

日本の、サザエの蓋部分のようなもの、だそうです。
バスク地方の海岸では、たくさんの人々がこの、幸せの貝を探して歩いているそうです。
所変われば品変わる、ですね。

一気に秋になりました。
秋が来たんだ!と気付くのは、もちろん紅葉や空の高さなど、いろいろとありますが、
やはり、トンボが飛び始めると、秋の実感が得られるかと思います。

トンボは世界中で見られますが、日本では古くから「特別な虫」だと考えられています。
秋津、あきつとトンボを呼ぶこともあります。

日本の別名として「秋津島」というものがありますが、これは神武天皇が日本の姿を見て、トンボのようだといったところから来ているという説があります。

また、トンボは飛び方が独特で、一直線に前に進んでいるように見えるところが、勝ち虫と呼ばれてもきました。
トンボは意外に獰猛、スピードある名ハンターで、
害虫にスピードで追いつき、一気に捕食するところも、勝ち虫と呼ばれる由縁です。

また、トンボが姿を現す時期が「旧盆」に近いことから、赤とんぼは「ご先祖様を送り迎えする使い」であるとしたり、ハグロトンボと呼ばれる全身真っ黒のトンボは、「ご先祖様の魂が姿を変えたもの」であるとも考えられてました。ハグロトンボに関しては、「カミサマトンボ」と呼んだり、「田の神の化身」であるという考え方もあったようです。

しかしながら、海外ではトンボは、ドラゴンフライ「Dragonfly」と呼ばれます。
これは「ドラゴン=竜」のイメージがベースとなっています。西洋では「ドラゴンが邪悪な存在」とされているために、トンボも「悪魔的な存在であり、世の中に災いをもたらす」といわれているのです。
可哀想に、トンボは海外では忌み嫌われているわけです。

トンボ、という存在自体は変わらないのに、
人の価値観から、存在自体を変えられてしまうトンボ。
でも、似たようなことは、社会に満ちあふれているのだと感慨ふかく、捉えています。

トンボが姿を消してくる頃、雪国では雪虫が飛び、すぐに冬がやってきます。