カードからの闇。

庭のゆずの木に、今年もたくさんの実がなりました。
小ぶりですが、完璧にオーガニック。
少し学芸大学オフィスでお分けしようかな。

先日、インターネットで美麗なタロットカードを見付けて入手しました。
20世紀初頭のスウェーデン人アーティストの中で最も評価されたアーティストの作品。
キャッチコピーは、
「彼の作品は神話と民俗の世界を生き生きとさせており、タロットリーダーは独特のインスピレーションを感じることでしょう。」

確かに、本当に美麗でニュアンスある絵柄。
ちょっとダークなメルヘン的構成はとても素敵。

私はカードを入手すると、暫くの間は何度も自分で問いかけをし、答を導きながらそのカードの性格を見定めます。
実は、カードには性格、それぞれにパーソナリティーがあります。
優しいカード、厳しいカード、ロジカルなカード、やる気がないカード、人を選ぶカード……
それがわからないと、クライアントさんにはご提供出来ないと思っています。
だって、深く傷つき、沈んでいるクライアントさんに、
やたらめったら明るいカードでリーディングして、
「そんなの気にしないで、笑ってやり過ごすしかないじゃん。身から出たサビだし。」
と出たら……

タロットリーダーは、カードに忠実にリーディングしていくのが基本中の基本。
もちろん、状況次第でお伝えのニュアンスは少し変えても、真髄にリーダーの意向を入れてはならない。
だから、リーディングする前のカード選びは実は重要、と私は考えています。
実際、リーディングしていて、
あ、このカードは今のクライアントさんの価値観、状況的に合わないな。
と思った時は、カードを代えさせて頂いています。
そんなわけで、新しいカードをクライアントさんにご提供するまでに平均して20時間はかけるでしょうか。

このカードは、40時間ほどかけてみました。
くる日もくる日も、カードを繰って。
早朝、朝、昼、優雅、夜、夜中、丑三つ時。
さまざまな時間帯で。
オフィス、自宅と場所も変えて。

しかし、いくら向き合ってみても、
このカードはアンニュイな答えを繰り返し、
そのうちにカードが世界を閉じてしまうような、
リーダーの介入を拒むような、そのような展開になってしまう。
大アルカナはそれでも、なんとか答えを引き出す事は出来るけれど、リーダーが渾身の集中力で、
わずかな情報、しかもやや救いがないような断片的情報を、拾い集めていくような感じ。

小アルカナに至っては
とりとめなく人物像カードが繰り返し出てきて意味が取れない上に、カードの意味を追えば追うほど、
何か深淵の闇に引き込まれていくような、何か心がチリチリとするような、やや恐怖に違い感情が湧いてきて。
暗闇に対する、ヒト科の動物が抱く原初不安のような。

それは、このカードに含まれる北欧神話の闇なのか、
厳しい自然を生き抜ける民族的DNAにしか響かないものなのか。

この綺麗で、色合いも美しくモチーフも儚げな、
絵としては好ましいけれど震え上がるようなダークを提示してくる、
リーダーの脳細胞に滓を遺すようなタロットデッキを
私は封印する事にしました。

絵として、カード1枚ずつ単体で眺める、
そうすると、とても素敵なカードデッキなのですが。