夏が行く。


庭の柚子の若葉。
よく見ると、小さな小さな丸いものが葉っぱについているのがわかるでしょうか。
少し白っぽいものと、少し黒っぽいもの。

これはアゲハのたまごなんです。
多分、この柚子の木でこのアゲハは育ったのでしょう。
「実家」にたまごを産みに戻る性質が、ある種の蝶にはあるそうです。

この家に移り住んだ時、
アゲハやクロアゲハがよく飛んできて、
邪気祓いに植えていた金柑にたまごを産み付けていました。
金柑一本だけでは産卵場所が足りないかな、と柚子を2本
追加して植えまして、
それからは毎年、アゲハやクロアゲハが産卵に来るようになっています。

今日で8月が終わります。
今年はコロナの影響のせいか、
はたまた酷暑で頭の活動が鈍るせいか、
季節感が余りなく、いつもふうふう、ひいひい
言っているうちに暦だけが過ぎていく、という感じです。

白っぽいたまごはまだ、産み付けて間もないたまご。
黒っぽいたまごは、もうすぐ幼虫になるたまご。

若枝が伸びてきていたので、邪魔かなと何気なく手折ったら、青虫になる前のアゲハの幼虫がいて、
赤い角をにょきっと出して、頭を振って怒っていました。

ごめんね、ごめんね。怖かったね。


葉っぱにピントがあっていますが、
中央のボケた、鳥の糞に擬態しているのが幼虫です。
赤い角は引っ込めてくれました。

この幼虫がちゃんと青虫になり、サナギになり、成虫になれますように。
気候次第で、さなぎのまま越冬するか、成虫で越冬するか、
いずれにしても秋産まれの蝶は、春産まれより過酷な季節を生き延びていかないとなりません。
しかし、比較する対象を知らないこの幼虫は、
もくもくと、たくさん葉っぱを食べながら変態を待つのでしょう。

頑張ってね。
秋に、そして来春に、蝶になったあなたを見せてね。