愛の形。

「16歳半の柴犬を見送りました。」
長いお付き合いを頂いているクライアントさん。
綺麗可愛いお顔立ちで、でも度重なる大病とずっと闘っているかた。
何年か前から透析が始まり、
「昨年はご無沙汰しちゃったけど、癌治療していたの。今も継続中だけど。」
と仰る。
わざわざお越しくださいまして、体調は大丈夫ですか?
「ええ、大丈夫です。仕事も続けていますし。」
それは良かったです。
でも、柴犬の紋ちゃんは、そうなんですね。

「彼を見送ったら、私、自分が崩れてしまうかな、って思っていたけれど、不思議と大丈夫で。」
「それは、紋ちゃんが犬守になって、今も傍にいるからですよ。」
「ああ、やっぱり。そうなんだ。良かった。」
「紋ちゃんは、貴方を飼い主ではなく、俺の女だと思っていたみたいですから。」
「あはは。ああ、きっとそうです。ボール遊びしている時とか、俺が遊んでやってるんだ、って顔していたから。」

それを言ってからああ、鶴見さんこれ見て、
と彼女はiPhoneを差し出す。
「紋を見送ってから片付けをしていたら、大好きだったこのボールが出て来て。
紋、老衰で夜鳴きがひどかった時、ちょっと邪険にしちゃってゴメンね、って思ってボールをよく見たら。」

写真には、ピンクのボールに穴が空いていて、
見事なハート♡の形が。

「これを見たら、ぐうっと胸に迫るものがあって。」
「紛うこと無き、紋ちゃんからの愛のメッセージですね。」
「それならば、嬉しいな。」
「綺麗な愛♡ですね。」
「はい、綺麗な。」

柴犬の紋ちゃん、
犬守として頑張ってね。いつまでも。