「そら豆」考。

このちいさな花。ソラマメの花なんです。
最近、早採のソラマメが市場に出回っています。
このソラマメ、実はかの有名なピタゴラスと因果?
があるのです。

ギリシャの哲学者・ピタゴラスはそら豆を食べることを徹底的に拒否しており、ピタゴラス本人だけでなくピタゴラスに学ぶ弟子たちもそら豆を食べなかったとのこと。これは当時において決して珍しいことではなく、そら豆を「死の象徴」として忌避する風潮は古代エジプトやローマでも存在していました。

豆は儀式で「いけにえ」として使用されることが多く、葬送儀礼ではレンズ豆やそら豆がいけにえとして捧げられました。このため、ローマ神話に登場する神・ユーピテルに関する祭司を行う聖職者たちは、死を汚れとみなす考えから豆を食べることはもちろん、豆に触ったり豆について話すことも禁じられていたとのこと。

「ピタゴラスがそら豆を嫌った」という事実は古代の人々にもよく知られており、プリニウスによれば「ピタゴラスはそら豆の中に死者の魂が含まれている」と信じていたそうです。そら豆の花が持つ黒い斑点と、茎の内部が中空になっていることから「そら豆は地上と冥界をつないでいる」という考えに至ったとのこと。

一説によればピタゴラスは追っ手に追われて逃げている途中、そら豆の畑に行く手を阻まれてしまったそうです。そら豆の畑を走り抜けるか追っ手に捕まるかの選択を迫られたピタゴラスは、追っ手に捕まるほうを選択してそのまま殺されてしまったと伝えられています。この説が正しければ、一生にわたってそら豆を忌避してきたピタゴラスは、結局そら豆が原因で死んでしまったということになるのかもしれません。

日本では、ソラマメを煮て「お多福豆」と称して、
お正月のおせち料理になったりする縁起物です。
古今東西、所変われば品変わるとも言うけれど、
ここまで存在の明暗が違うものもまた、少ないのでは?
と思います。

関係ない話ですが、
うちの子供たちがまだ小学生の頃、
藤沢市の新・小学一年生は給食に出るソラマメの皮むきをする、という慣例がありました。
でも、ソラマメの豆を包んでいる、サヤの中のふわふわ、
なかなか気持ち良いですよね。

私は焼きソラマメが好きです。◕‿◕。