嘘みたいな本当の話

お盆も終わり、海にはクラゲも出始め、なんとなく夏終盤になって来ました。まだまだ暑いですけど。

今から30年前ぐらいの私がまだ中学3年の夏休み。

白いエナメルの靴、赤いネクタイ、サングラスをかけたルパン三世みたいなおじさんが家の中に土足で入って来ました。

なぜか親は裏庭に逃げて行ってしまい、取り残された私にルパンは紙を渡して来ました。

借用書と書いてあり、ゼロがいっぱい書かれていて、

「支払いできないならわかってるよね?」

と言ってきました。

…わかりませんでしたが、なんとなくとんでもないことになりそうなことは、わかりました。

裏庭に逃げてしまうような親なので頼りになるのは幼なじみの、みかちゃんだけでした。

あいにく、みかちゃんは留守でしたが、みかちゃんのお母さんがいました。

かなり気が動転していたので第一声が

「お金貸してください。200万」

と言ってしまいました。

おばさんはなぜお金を貸してほしいのか、なぜ200万円という大金なのか、冷静に話を聞いてくださり、ルパンみたいな取り立て屋が来てわかってるよなと言われた話をしました。

裏庭に逃げてしまうような親のため、家にいるためには誰かが借金を返さないといけないわけで。

私は親がギャンブルで作った借金200万円を学校に行きながら返す決意に至りました。

おばさんには決意を話し、中学生でも働けるお皿洗いの仕事を見つけてもらい、高校に入ってからは家庭教師とアルバイトと奨学金をもらいながら、毎月月末にルパンもどきが回収に来るので10万単位で返して行きました。

途中あまりに悲惨に見えたのか、養子縁組してくれる人がいるから行かないか?まで話がありました。
親健在なんですけどね。

最終的に高校2年の8月に完済しました。

最後の回収の時、いつもルパンは話さないのですが、かなり長くお話ししてくれました。
ルパンは北海道から回収業務で出稼ぎに来ていて、この借金は裏のお仕事の人達が消費者金融から買いとったものだった。
よって一回でも支払いが滞ったら私を売り飛ばすように言われていた。
ただ私と同じくらいの歳のお嬢様がいて、それだけは避けたかったから、毎月怖い顔で厳しくしてしまった。完済できて本当に良かったと。

ルパンはルパンで家族のために嫌な仕事をやっていたわけですからね。

はじまりも終わりも、8月なんですね。このエピソード。

嘘みたいですが本当の話でした。